図面を形にする職人たち


大工

建主の暮らしを表したものが、設計図になるのだから、できるだけ内容の充実した良い設計図が必要です。

では、よい設計図があればいい家が出来上がるのか?

図面があれば家ができあがるのが当然だと思われるかもしれませんが、 実はそうではありません。

1件の家をつくるためには20を超える業種が必要となります。
そして、家が完成するまでには総勢100人を超える職人が工事に携わることになります。

現在は、材料や工程が工業製品化されたり、いろんな部分でIT技術が導入されたりしていますが、 あくまでも住宅は“現場”で“職人の手”によってつくられています。
そういう職人の技術の集まりによって「家」というのはできあがるのです。

現在の家づくりは、工期やコスト削減のために、手間を省き、高度な技術を必要としない工法も生まれています。
誰がやってもある程度の品質を保つことができる。
しかも早く。
これは、お施主様にとってもメリットの一つでもあります。
そのため使う材料は、工業製品、いわゆる“新建材”と呼ばれるものが主流になってきています。

杉板

「ここちよくproject」では、できるだけ自然な素材をつかって、職人の高度な技術を大切にした家づくりを目指しています。

建築家が設計した建主のための設計図は、それぞれの建主の十人十色の暮らしの部分を図面化していますので、標準化して表現することがとても難しいもの。
また、それと同時に設計図に描かれたものを実際に形にする職人の技術がとても大事になってきます。

職人の代表的な存在で、家づくりの要になるのが、やはり大工です。
住宅では、木の占める部分がおおきくて、木というのは、ゆがみや経年変化による歪みが出やすかったりもします。

ですので、狂いなどがでにくい集成材や新建材といった材料がどんどん利用した家づくりが主流となってきています。

それでも、歪みが出てしまうのが木の特徴です。

仕上げしまうと隠れてしまう下地の段階でしっかりと手間をかけ、木の変形の性質を読み、しっかりと調整したりすることで、メンテナンスに手間のかからない家を作ることができるのです。

ここでいう「調整」とは、0.5mm~1mmレベルの話。

できあがってしまうとなかなか分からない部分であると同時に、ものすごく手間がかかってしまう作業になります。

床

私と職人との合言葉は、
「ここまでやっとけばいいだろう。」
ではなくて、
「ここまで、やらないといけないだろう!」
で、あり続けたい。

誰が設計するかによってできあがる家が全く異なるものになると同時に、どういった職人が施工するかによってもできあがってくるものは全く異なってくるのです。

建築家と工務店の信頼関係

建築家と工務店の信頼関係

私の今までの工務店での現場監督の経験から、設計事務所のつくる設計図はすごく繊細なものだと考えています。

お施主さんのこれからの暮らし方や希望がギュッと凝縮されているのだから、 当然ですよね。ちょっと表現を変えると“暮らしの設計図”といったところでしょうか。
そしてその図面には法規的な基準や耐震・断熱といった性能のこともすべて含まれています。

設計図に描かれた0.5mmや1mmといったこまかな寸法を忠実に再現することが、現場監督としての技術でもあります。

設計図が意図する数字の意味を読み取りがちがっていれば、
意図した空間ができないということもありえます。

現場監督は設計者の意図を図面から読み取る、
それを施工図として作成し、職人に確実に伝えていきます。
そして、職人が技術を発揮し実際につくり上げていく。

これの積み重ねが家をつくるということなのです。

完成したものを確認し、自分たちがどういったものをつくり上げたのか、
施主さんにどう喜ばれているか、
そういうことを再確認し、さらに信頼関係が深めていく。
こういった建築家と工務店の信頼関係も、家づくりにはとても重要だと考えています。

職人との信頼関係

職人との信頼関係

家づくりは何もないゼロからはじまります。

建主が暮らしたい住まいをイメージし、
それを元に設計者がプランを練って図面を描き、
工務店が見積りを立て施工の段取りをし、
そして職人がかたちをつくりあげていきます。

かたちのないものを作り上げていくためには、
やはり何より信頼関係が必要だと思っています。

ここでは“住まいの作り手同士の信頼関係”について、少しお話をしたいと思います。

建築家の図面にはさまざまなことが描かれています。
建主が気になるのは、表面的な意匠のことや、動線、間取りなのかもしれません。
もちろん、これもとても大切な部分です。

けれども、しっかり描かれた設計図面にはこういう平面的な要素の中に空間的な要素が多分に含まれています。
じっくり設計図面を読み取っていると、建築家がどんなことを考えて図面にしたのかが明確に読めてきます。

設計図通りに仕上げるためには、どうやって組み立てるべきか、現場での作業を効率よくするためにはどうしたらいいか….そういったことを考えながら「施工図」を作成するのが工務店の仕事です。
この過程をしっかり経ることによって建主がどのような暮らしをしたいのか、施工者の立場としてしっかりと感じ取り、施工に臨むことができます。

施工図

「誰のために、どんな家をつくるのか」というイメージを明確にしっかり共有できる関係を、建築家と施工者の間で築くことが大切だと思っています。

つまり建主の望む住まいのイメージをしっかりと反映した図面を描き、
現場監理ができる建築家であれば、工務店は安心して施工を進めることができます。

ここでちょっと施工者の立場として本音を言わせていただくと…
表面的な図面だけを渡してこまかな大事なところを工務店任せにし、現場でできあがったものを見て「これでは違う」というような建築家では、安心して施工することもできないので….。

(話を元に戻します)

そして、できあがった施工図を基に職人には現場でかたちを作り上げていきます。

職人には、しっかりと施工図を見てもらって打ち合わせをし、内容を確認してから施工してもらいます。

当然なのですが“施工図を理解できる”というのは、職人の技術の一つ。
これができないと違うものができあがってしまいます。

施工図と大工

しかし、ここで大事にしたいのは、 いろんな現場を経験してきたそれぞれの職種の職人の知識はとても豊富であるということ。

施工図を見ながら、「ここはこうしたほうがいいものができる!」といったアドバイスをくれる職人には安心して任せることができます。
それを次の段階でも考慮して、お互いの技術が向上していく。
そんな関係も家づくりには必要と考えています。

現場を進めながらの打ち合わせは、基本的には現地で行います。
設計者、職人と技術的な意見交換もすることができるよい機会です。

こういう3者の関係をしっかり築いていくのも現場監督の仕事です。

現場監督は、工程の節目では、各業種にしっかりと指示しながら現場を進めていきますが、毎日一日中現場にいることはできません。

そこで、それぞれの職人が次の工程の職人の作業のことも頭に入れて、現場を進めていってくれるととてもありがたいし、うまく現場が進んでいくことになります。

こういった、建築、現場監督、職人、
さらには、職人同士の横の信頼関係がいい家づくりの大切な要素になるのです。