予算内に納めるために、建築家が考えること

藍住Y邸

建主と一緒に家をつくっていくことが決まったら
これから建てる家に対してどんなイメージを持っているのかをお聞きすると同時に「総予算」をお伺いします。

建築時には、建築費とは別に、新規家電・家具類購入費、外構・植栽費、設計・監理料等がかかります。
そのなかで家にかけられる金額を把握するのです。

実際に土地を確認しに行った後に
・敷地形状や大きさ
・周辺環境
・建主の家に対するイメージ

こういったことと、予算を頭に入れ、プラン…いわゆる間取りといったものを導き出します。もちろん、容積率や建ペイ率といった建築基準法的なことも含めて考えます。

建物は使用する材料、特に仕上げ材によって大きく予算が変わってきます。
今までの経験値や実際にメーカーに問合わせしたりし、「この材料を使うのなら坪単価がこれくらい」ということを勘案し、全体のボリュームを調整していきます。

また、図面作成の段階で打合せを重ねることで、建主が大切にしたいことや実現したいことが明確になっていきます。
こうやったらもっと楽しいだろうということも。

そんなことを積み重ね、建主の要望をできる限り盛り込んで出来あがった図面を見積りに出します。
工務店さんからあがってくる見積書を見ると、どこにいくらかかっているのかということがわかります。

そこで、例えば、壁の仕上げ材でも比較的高価な材料である漆喰を使用していた場合、それは本当に漆喰を必要とする空間なのか、それとも異なる素材でも代用ができるものなのか、いま一度、予算配分を見直してみるのです。

こういった作業をすることで、最終的に目標金額に合わせていきます。

しかし、「何を大切にしたいのか」ということをクリアーにし、それを建主、建築家、そして出来れば工務店さんもが共通認識として持つことが予算内に納める一番のコツなのかもしれません。

見積りについて

工務店と建築家の打合せ

見積もりをしっかりするということで、家の値段が明確になるということをお話しました。
http://cocochi-yoku.net/column/?p=12

設計事務所との家づくりでは、施工をする工務店を選ぶ時に「入札」「相見積り」という方法が取られることがあります。
「入札」という言葉から誤解を受けやすいのですが、単純に金額が安い見積もりの工務店に仕事を任せるということではないのです。

図面通りの積算、材料や工賃の数量や金額が拾い落ちなくしっかりとできているか、出された価格が妥当であるかなど比較し、それによって安心してまかせる工務店かどうかを建築家が判断するために「入札」や「相見積り」が行なわれます。

あくまでも“妥当な金額の見積もりかどうか”ということが、重要になってきます

つまり、相見積りという作業は、信頼して工事を任せることができる工務店を見つけるために行なわれているものだと思います。
ですので、設計事務所と工務店の間にしっかりとした信頼関係があれば、入札などの作業は必要なくなると、私は思います。

設計事務所と工務店のしっかりした信頼関係があれば
早い段階で概算見積りを立てたり
建主や設計者との打ち合わせに参加することができます。
それによって、
建主・建築家・工務店の3者の信頼関係を早い段階で構築していくことができるのです。

家の値段って?

見積書1

一生で一番高価な買い物といっても過言ではないのが、家の購入かもしれません。
家を建て、暮らし始めるまでにはどれぐらいの費用が必要なのか?

ざっくりと以下のようなものが必要になります。

  1. 家そのものともいえる、建築工事費
  2. しっかりとした図面を描いてもらい監理をしてもらうための設計・監理料
  3. 照明器具、カーテン、冷暖房、庭工事
  4. 土地の購入代
  5. 税金、登記費用、水道加入金、火災保険、引っ越し費用、家電、などの諸費用

資金計画をしっかり立てるためには、この辺りは押さえておく必要があります。

 さて、その中でも“家の値段”というのは、どうやって決まるのでしょうか。
よく言われるのは、「坪あたりいくらになるのか」という“坪単価と”いうものです。これは、自社での仕様がきまっている “ 商品としての家づくり”をしているところでは、見積書でよく使われている方法です。

 この方法であれば、使う材料を標準化しているために、図面が出来上がった時点で、○○坪の家なので、坪数×単価=家の値段という関係で、見積書が出来上がります。
お客さんにとっても、早い段階で金額が明示されるので、シンプルでわかりやすいかもしれません。

坪いくらの家づくりでは、
「じゃあ、家を○○坪小さくしましょうか!?」
なんてことなってしまう場合もあります。

また、金額がすぐわかるという点ではメリットがあるのかもしれませんが、坪いくらとか一式いくらでは、どこにどれだけの費用が掛かっているのかがよくわからないということになります。

見積り風景

設計事務所の図面には建主の要望が、事細かにしっかりと描きこまれています。
その図面を基に、工務店が大工工事にはいくら、左官工事にはいくら、電気工事にはいくら…と各業種ごとの工賃や材料のひとつひとつ見積もりをしていきます。

しっかりと描きこまれているので、材料のひとつにしても、サイズや長さがを拾い出すことができます。
材料、それぞれに掛かる手間代、などできるだけ細かく積算していきます。
そして、「建築予算を見積る」ということは、各業者の数量等の間違いがないかもチェックを繰り返して集計していく作業になります。

この作業には設計事務所の図面が出来上がってから、2週間程度の時間がかかります。実は工務店にとって「見積り」は、とても大変な作業なのです。

そうして、材料や職人の工賃が細かく明示され、
家が出来上がるまでに、どういった材料がどのくらい必要で、
それを組み立てるには、どれぐらいの作業が必要になるかなどが分かる見積書ができあがります。
そして、それにはもちろん工事を管理するための費用や、安全に進めるための仮設の費用、保険の費用なども含まれています。
よってこの見積書はページ数にするとゆうに30枚を越す内容になります。

細かく明細がある見積書があれば、限られた予算の中でどの部分にどれだけの予算をかけれるのか、建て主がどこを大切にしたいのか、しっかりと建主にも考えてもらうことが可能になります。

建主の要望を満たすためにできる方法を、
それぞれの立場で
納得できるまで考えることによって、
家の値段は決まるものでありたいと思います。